MORIYA AND PARTNERS
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建築家 森屋隆洋さんの新築住宅「NIKAIDO」を見学しました
梅雨のみぎり、いかがお過ごしでしょうか。
今日は新たに建築家として加わっていただきました、森屋隆洋さんの新築住宅を見学してきましたのでご紹介いたします。
神奈川県鎌倉市という歴史ある町の中の旗竿地という、制約のある中で設計された住宅であり、その土地の特性を最大限生かす建築が得意な森屋さんが最適な建築家であるというクライアントさまの判断が見事に的中した住宅に仕上がっていると思います。
では、さっそく画像とともにレビューいたします。
限られた敷地をより広くするために。あえて敷地に拡張せずに箱をならべて広く見せる設計
この写真はこの住宅である「NIKAIDO」の中心となるリビングです。
正面下の外部の敷地の境界線が斜めに走ってるのがおわかりでしょうか。
通常の設計であれば狭い建築面積の場合は土地に対する住宅の境界を制限めいっぱいとるのがセオリーですが、この住宅は建築面積が64㎡であるにもかかわらず敷地境界線目いっぱいに建築面積を取っていません。
その理由は、敷地目いっぱいに住宅面積を取ってしまうとこの土地の場合、正方形ではないため住宅の外周が角度のある建築になってしまいます。
斜めの角度のある住宅は使い勝手が悪くなり逆に居心地が悪くなるという森屋さんの提案で、このように箱のような部屋を配置して端正にし、そうすることでまっすぐ外部の視界が広がる方角に自然と意識が行き、その意識の向く方向に吹き抜けと目いっぱいの開口とすることで端正かつ使いやすく、広く開放的な空間にしました。
また、窓の外側にも縁側のような高さのポーチと少しせり出した軒を設えて、外部と内部の間に小さくゆるやかな中間領域をつくり、内と外が断絶するのではなく自然と外へ向かって広がる空間へと変換しています。
そして、開口部の左右にドアを配して外とのつながりを複層化していますが、さらに単調にならない工夫としてそのドアの高さも高低の変化をつけています。
これは、鎌倉という歴史ある土地を鑑みながら限りある空間に豊かさを演出するために、床の間の落掛と鴨居の関係のようにあえてずらして配しています。
こうすることで日々見る眺めも四季のうつろいとともに単調な空間認識からより豊饒な空間認識になります。
リビングとの高と低、茶室のような低い天井の書斎はリモートワーク用としても利用
こちらのお部屋は先ほどのリビングの部屋の右側、一番下の黒い模型の右側の一番低い部屋になります。
用途はリモートワーク兼書斎部屋になり、最も高さのあるリビングで解放感を得れるのとは対象的に最も低い天井で安心感や落ち着きを得られるように高低を対比させた設計となっています。
躙り口などはなくとも岡倉天心の「茶の心」に触発された茶室のような外観で、格子の出入り口から低い天井高、窓を切り絵のように外観を切り取った書斎では、自分の趣味に没頭したりリモートワークでも外界に邪魔されずに仕事に打ち込めます。
なお、黒い模型をご覧いただければ先ほどご案内した箱のような部屋を4つ配置していることが一目瞭然だと思います。
これで拡張しているにもかかわらず斜めのデッドスペースで敷地を生かせない設計から、あえてやや狭くなっても端正さで敷地の可能性を最大限活用し、さらに高低差でそれを際立たせていることがわかるかと思います。
非画一性、高と低、アシンメトリー、エイジング加工、天井の角と建具の丸などを端正な4つの箱にちりばめることで日々の暮らしに彩りと豊かさを創出
一番上の写真はリビング左側のクライアントさまの主寝室への階段部分になります。
室内になるとなおのこと腰壁のように切り分けされた壁や長押のような横の柱が印象的です。
この壁はキシラデコールという優しい木目を表現する塗料や、アクアウォールというコンクリート用塗料を塗り、
洋風でいうモルタルやスチールにエイジング加工させたスターバックスコーヒーのようなモダンヴィンテージを、和のモダンなテイストの中に織り込んでいます。
これも鎌倉という土地にいかになじませるかをクライアントさまと試行錯誤した結果であり、土地に対する真摯な姿勢のあらわれです。
真ん中の円の棒の写真は竿縁天井風の天井に、さまざまなものをフックさせられる円状の建具が設置されている写真です。
高と低やアシンメトリー、エイジング加工や非画一以外も角の天井に円の建具で視覚的な豊かさを作り出す、森屋氏の徹底的なこだわりが随所に見られて本当に楽しい住宅です。
一番下とその上の写真は寝室です。
この部屋も開口部が一つではなく、しかもアシンメトリーに左右に配置されています。
一つは出入り口ですが、もう一つは窓のような役割で、開けることで空間を一つに、閉めることで寝室の個室として切り分けて利用できます。
このように小さな敷地面積に対して最大限の拡張をするのではなく、4つの箱で端正さを出して高低で広がりを持たせ、その中で非画一性の豊かさで日々の生活を彩っていく、鎌倉らしい土地に真摯な家づくりは、森屋さんならではの建築家らしい住宅といえるのではないでしょうか。
なお、最近要望の多い住宅性能に関しても建築途中の中間検査でC値を測定し1未満、鎌倉の空気を感じてほしいという理由で湿気が増えたときに動作するアエレコの第3種換気を採用しております。この辺りはクライアントさまと要相談されて決めているとのことです。
そして最後にもっとも森屋さんならではの設計があります。
それは、隣家のある方角には特に気を使い、家を引っ込め、高さを低くしたという点です。
このことがまさに土地や周囲のみなさまと調和することそのものであり、その土地に生活するクライアントさまの今後を考えた設計であり、土地にもクライアントさまにも周囲の方にもすべてに優しい森屋さんならではの設計だと思います。
なお、この住宅のご質問や価格、森屋さんの設計の考えや設計料など詳細に関しましては、無料相談予約ページのLINEで承っておりますので、些細なことでも何なりとおたずねください。
レリーフのLINE相談室では皆さまからのあらゆる質問にお答えしていきます。
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