三井嶺建築設計事務所
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【新築の公共建築】二子玉川にできた「柳小路南角」を見に行ってきました【三井嶺建築設計事務所】
師走のあわただしさが寒さとともにじんわりと身に染みてくる感覚になるこの季節。
みなさまいかがお過ごしでしょうか。
さて、レリーフとして独立当初から建築案件ごとにレビューしてきました、三井嶺建築設計事務所の
三井さんの新しい木造のテナントビルが完成したという事でご招待を頂きまして、さっそく取材しに行ってきました!
新しいグルメスポットというくくりの多いこの「柳小路南角」ですが、建築そのものの側面から様々な
話をお伺いできましたので、ご紹介させて頂きます。そして、住宅づくりに関しても話を聞きましたので併せてご覧ください。
なお、この建物の特徴である「街場感」を味わっていただくため、撮影は後日夜にも行いました。
街の雰囲気を生かすための「木」の構造と通り抜けの動線設計
南側から撮影
大きな構図の写真ですが、3階建てのテナントビルとしては異例の木造建築の全体の雰囲気を感じて頂く構図となっています。
木造にしたのは、その街になじむような「街場感」を意識したためです。
そもそもこの柳小路は昔からある二子玉川の多摩川沿いの夜の飲み屋街。そういった歴史を踏まえたうえで、
真っ白な内装にコンクリート、ガラス張りといった従来あるような「おしゃれでカッコいい」かもしれないけれど、
消費されて半年で飽きられてしまう建築という価値観から一歩置いて、
年を重ねるごとにじっくりと味わいが増していくような、二子玉川柳小路の街になじむ建物を目指したそうです。
一階通路
三井さんデザインの照明金物
1階から2階の階段
そのような「街になじむ」要素はもちろん木造というだけではありません。
その一つが「通り抜け感」。
街場で飲み歩いているときに、迷路みたいな通路は通りたくないですよね。
そして、短い動きで様々なお店が見られたら楽でうれしいですよね。
そういった動線設計が1階通路と階段の写真でおわかりいただけると思います。
1階通路は道を歩けば両脇にお店をみれて便利でかつ、先には通路につながって袋小路ではないという安心感もあります。
そして1階から2階の階段です。ただの階段ではありますが、わざと奥に設置して巡回させるような小細工をせず、
街の通りの一番通りやすい位置に設置して、逆に使いやすく、通り抜けやすくしています。
そしてここで三井さんの特徴である装飾を!
2枚目の写真のライトを覆う装飾金物は三井さんデザインの特注品。しかしながら市販品とそん色ない安さ。
こういった照明家具などもデザインできるのも三井さんの特徴で、家づくりの際にはこういった装飾品や家具なども一緒にご依頼いただけます。
そうすることで家と家具との連続性や一体感が生まれ、なおかつ一括受注で安く仕上げられるという一石二鳥の効果があります。
そして、1階から2階の階段の写真で、2階建物部分は1階建物部分よりわずかながら面積が少ない、内側に引っ込んでいるのがお分かりいただけますでしょうか?
これは、日本古来の木造建築の特徴を用いた設計で、2階面積をあえてひとまわり小さくしています。現在のタワーマンションのように全階が同じ面積で上に延びるのではなく、
世界最古の木造建築である法隆寺の五重塔も1階に対して5階の面積は50%であるように、1階より2階の面積を小さくさせているのです。
こうすることで1階で建物を見ている人に圧迫感を与えることが無くなり、それが自然と受け入れやすい建物につながります。
これもまた、街になじませる建築を目指したゆえの設計で、こういった日本古来の木造工法を今に活かしているのも三井さんの特徴です。
三井さんの建築ならではの「構造と装飾」
このように、二子玉川柳小路の歴史をふまえて流行に左右されない街場感や人とのとけ込みを意識した木造建築に仕上げていることは
間違いないのですが、取材してなお意識させられたのは、むしろ三井さんらしさのにじみ出るような建築でもあるという点です。
それはこの建築に見え隠れする「構造と装飾」の部分です。
そしてその「構造」部分を象徴するのがこの集成材のような加工品ではなく、木材をラフに束ねただけの束ね柱・重ね梁と、
それを交錯させる日本古来の工法である貫工法です。
1階「按田餃子」内部より撮影
この写真は、縦に延びる柱と、横に渡る梁を貫工法によって露出部分に金物を使用せず交錯させた部分の写真です。
ラフな木材を重ねただけの木材は集成材のように加工されていない木本来の武骨さと力強さがあり、
なおかつ結合部は寸分も狂いの無い寸法で木に穴をあけ、そこに木を貫通させて結合させています。
この貫工法により、従来の木造工法で使う筋交いではない粘りのある耐震性能を持たせ、
さらに金物を外に露出して使うよりも断面欠損などによる耐震性能の低下を免れて向上させることができます。
三井嶺建築設計事務所HPより引用
そもそも、通常のこの規模の建築ですと、まず床をつくってから柱を立て、次に2階の床を作ってという工程をするのですが、
この「柳小路南角」は写真のようにまずこの構造を全て先に作ってから後で床や壁を作るという通常とは逆の順序をたどりました。
これも、今後50年100年後も永続して存在し、街に愛されつづける建築にしたいという事をまず考えてのことです。
そのために、貫工法という日本に古来からある木造軸組工法を甦らせ、さらに木材の束ね柱・重ね梁という、世界初の試みでさらに強度を持たせたのです。
このように、消費されずにずっと街に愛される建物にしてほしいというオーナーのリクエストは、耐震や構造の強さへの並々ならぬ意気込みがある三井さんの建築だからこそ実現したのです。
三井嶺建築設計事務所HPより引用
三井嶺建築設計事務所HPより引用
上記は木材の束ね柱・重ね梁という世界初の試みの為、構造評定を行った際の耐火構造の実験の様子です。
木造はもえしろと言って木は一定時間は外部しか燃えない特徴があり、それが耐火性能を高めることになる実証実験です。
次はこの建物の装飾部分の特徴的な写真です。
この写真は窓の枠です。ただの窓枠に見えますが、色は街になじみやすい色にし、さらに四つ角は見る人に
なじむように丸みを持たせてあります。さらに、装飾として角の部分に段差を持たせるために後からわざわざ違う大きさの
装飾をはめ込んであるのです。
こうすることで見る人の目になじむのと、装飾的な美しさ両面を感じてもらえるような設計です。
これも先ほどご案内した2階を後ろに減築させて圧迫感をなくすようにした設計などと併せて、なるべく街に
溶け込む街場感を持たせ、人にやさしい建物にするという考えに通じるものと思います。
このように、三井さんらしい「構造と装飾」が、随所に見られます。
そしてこれらの「構造と装飾」は家づくりにも通じていますとおっしゃっていました。
最後に家づくりで大事にしている点を聞きました
このように、オーナーの要望でもある街になじむ建物を、三井さんらしさである日本古来の工法を含めて
構造と装飾を用いて実現するあたりはほんとうにさすがのひとことだと思います。
であるならば、住宅に関しても相当にこだわりをもったものになるに違いないと思い、こんな質問をしてみました。
「今回は公共施設ですが、家をつくるにあたって一番やりたいことはありますか?」
返ってきた言葉は意外でもあり、三井さんらしくもありの、こんな言葉でした。
「もちろん耐震構造や装飾は大事ですが、それよりも個々のお施主さまの希望や夢を最大限にかなえたいです」
「そのためにお施主さまが望んだものを価格面も含めてしっかりプランニングします」
「そうすることで、後から形が変わったり、価格が変わったり、工期が伸びたりといった事をしないようにします」
この言葉は、設計・監理の正確さや構造・装飾の引き出しの多い三井さんならではの言葉です。
普通の建築家であればここで何らかの特徴的なことをしたいというのでしょうが、クライアント・ファーストの姿勢を
あくまで貫くというのが三井さんの答えであり、そのための引き出しが極めて多く、幅広いというのが三井さんの強みで
あるのではないかと感じました。
これから初めての家づくりをお考えの方から、何度か経験されているベテランの方まで、クライアント・ファーストで
幅広い対応ができる三井さんの家づくりは注目です。
この文章を読んで、見て、少しでもワクワクしてもらえたら幸いですし、ワクワクした方はきっと三井さんの建築が向いています!
また、最初から建築家との対話にご不安があればこそのレリーフですので、まずはぜひ弊社にお気軽にご相談頂けましたらと思います。
きっと、いや、絶対に、希望や夢を最大限にかなえながら、三井さんならではの仕事も採り入れた、最高の家づくりが実現できますよ!!
なお、装飾に関しては過去のリノベーション建築にも通じているので下記をご覧ください。
提携建築家の三井 嶺さんのリノベーション建築の完成見学会に行ってきました
【建築家×リノベーション】戸建てからスタジオへのリノベーション案件の完成見学会に行ってきました
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